役に立たないフリーランスの話 その6.主催と受託

 開業して数年はいくつかの主催事業をやっていた。京都市の野外活動施設「花背山の家」でのファミリーキャンプや、ゲストを招いてのセミナーや京都御苑での観察ウォークなどである。これらをやる中では、現場での指導や場の展開の仕方の他、問い合わせへの対応や広報、プレスリリースの仕方など身につけたノウハウは数多い。

 しかし次第に主催事業は数が少なくなり、いまでは依頼されて講師やコーディネーターとして出向いたり、事業そのものを受託したりするケースのほうが圧倒的に多い。(主催と受託の売上げ比では1対9くらいではないだろうか)

 それはいくつか理由があるのだが、ひとつは「ぼやぼやしていて、スケジュールが先に埋まってしまった。」ということだ。よほど主体的に、いちはやく主催事業の予定を立てていかないと主催事業をやり続けることは難しい。もうひとつは「主催事業は赤字リスクを抱える」ということ。これまで単体の主催事業で、幸い大きな赤字を出したことはないが、同様に大きな黒字を残すことも難しい。(それは「みんなに来てほしい」ために参加費はギリギリ低く設定するから)いろいろやりくりして収支を均衡させるのが精一杯なのだ。フリーランスの乏しい資金力では、あまり高いリスクを冒すことはできない。さらには「主催事業は問い合わせ等への対応が煩雑。」ということもある。電話番がいつも待機しているわけではないので、質問や問い合わせ、電話での申し込みをうけるのはなかなか大変である。

 そんなことから、今では「美山を歩くスキー」と「ヨセミテキャンプ」の二つしか続いている主催事業はない。(いずれも「なにを差し置いても自分が行きたい」というわがままな気持ちがあるから続いている。)

 講師派遣や事業の受託などでは、主催者が別にいて、カラーズとしてはその運営の中味だけを請け負うわけだから、集客やお金の面でのリスクもなく、また問い合わせの対応等も主催者がやってくれる。こんなにありがたいことはない。しかし一方で欠点としては、「西村さんの出番のあるセミナーに参加したいのですが」と言われても、関係者のみ限定の研修会だったり、一般参加可能でも遠方のものだったりする場合も多いということだ。これでは関心ある方や地元の方々に申し訳ない。

 昨年から主催のセミナーをまたやり始めている。収支は「赤字を出さずにすむ程度」だが、やりたい中味を自由にデザインできて、地元の参加者も来れるし、ネットワークもひろがる。そして「カラーズはあんなことをやっているよ」という社会的な認知が深まる。フリーだからといって「楽なほうに、得な方に流される」だけではダメだということだ。

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