今回はごく一部のケースで、私のように家庭を持っている人間の場合の話だとあらかじめお断りしておく。勤め人をやめたり、新しい仕事を始めようとするとき、あるいは独立しようとするときに、つきものなのがこの「奥さんはどう言っているの?」という質問だ。(もちろん逆のケースで「旦那はどう言っているの?」というのもあるだろう)私も勤め人をやめるときに「奥さんはどう言っているの?」というのをいろんな方から質問されたし、いまでも「独立されるときに奥さんはどう言われたのですか?」と聞かれる。
奥さんの反応は社会常識を映し出す鏡のようなものだと思う。「奥さんはどう言っているの?」と尋ねる人はあなたの答えを聞いたあと、きっと次のような反応をするだろう。
あなたの答えが「賛成してくれています」なら、「そりゃいい。がんばってね。」だろうし、あなたの答えが「いやー、不安がっています」とか「反対されているんです」なら「そりゃしんどいな」と言われるだろう。つまり、現実的な事業計画を立案することも大事だが、奥さんの思っていることがどうなのかということが世間一般のモノサシなのだ。
実のところ私の場合には、つれあいに対してそれまでに独立自営への希望(それは環境教育ということだけではなく、幅広く、たとえば飲食業なども含めて)について話をしていたり、上司や組織に対する愚痴をこぼしていたりなどという状況だったので、いよいよ「決断の話」の段階ではあっけなく「ようやく決めたのね」というような反応だった。
夫婦で決断に至るまでのプロセスをよく共有することが、周囲の人たちをも味方につける大事なポイントなのだ。